No.319

#詩 「砂漠」

柵を傍らにあるいている

はじまりもなく到達もなく

うつむいて。

かつてのように街角ごと

立って呼びかけてくる者はない

果てもなく実りもなく

砂は無言で風を散らし

雲は静かに時を動かし

小さな影法師がひとつ

浮かれおどりながらついてくる

それはいつかの私

あるいは今のおまえ



私が止まれば止まるのか

目をとじるとふたつの貝殻が鳴る

時の地層のなか うずもれて

小鳥が鳴いていた 空の高みで

自由を自由と思いもせずに

ほそく軽い骨をした翼を

今にも自由落下の法則にまかせて

断片