No.230, No.228, No.227, No.226, No.225, No.224, No.2237件]

苺を食べ、ミルクを飲んだ子供の、乳歯と吸啜窩が同居している小さな口から甘い香りがする。
私はこのような瞬間のために生まれてきたのだ――とこそ思わないものの、完璧にはほど遠い親であっても、今日子供は苺を食べミルクを飲み、その香りがあどけない口元に残っているのだという事実に許されているような気がする。

日記

図書館で本を返却し、予約図書や書架から出してもらった本を含む19冊(絵本17冊、コミックエッセイ1冊、小川洋子1冊)を借りた。
市役所へ問合せに赴く。結果、いわゆる「お役所仕事」に振り回されただけだとわかり苦笑。野菜などを買って帰宅し、車で梅の咲いている公園2箇所を巡る。子供も遊具のある公園で大喜びで駆け回り、池の鴨を真剣に観察していた。
夕食は大きな鱈の切り身を骨取りしてフィッシュ&チップスに。

日記

子供がボックスティッシュを一枚ずつシュッ、シュッと抜き取って遊んでいるのを見て、「あ、君もやっぱりやるんだね」と謎の感動があった。

日記

小川洋子「妊娠カレンダー」を #読了
収録作品は芥川賞を受賞した表題作「妊娠カレンダー」のほか、「ドミトリイ」「夕暮れの給食室と雨のプール」。
小川洋子はだいぶ昔に「博士の愛した数式」を読んだくらいで、純文学作家として意識したことがあまりなく、最近になって、きっかけは忘れたが改めて興味を持った。(あと、新聞の一面を使って連載されていた「ミーナの行進」という作品が記憶にあったのだがあれも小川洋子作品だったらしい)
図書館で「海」を借りて、表題作だけ読んで時間切れになって返したのだったかな。静謐で透明な香気漂う文体、どこか村上春樹にも通じる、オブジェクトを丁寧に配置していくことで語られないものを語る手つき。一人称小説なのだが、視点人物は周囲の激情や孤独を透徹した視線で見つめるばかりで、ある意味で神の目による三人称小説のような雰囲気も帯びる。寝る前に飲む薬のような感じ、書架に欲しくなってしまった。次は芥川賞に連続ノミネートされた初期の作品集を借りてきて読もうかなと思う。

呟き

”大学生達が出てくるシーンで急に思い出したんです。春から初夏の、暖かい夜……外を歩いてると、風がぬるくて過ごしやすくて。若かったから薄着で、Tシャツにショートパンツ、サンダル。背中にはリュック。荷物はいっぱい入ってるけど、身体は軽くて、どこにでも行けそうな自由の感覚……暖かい夜道を歩いてる。桜の萼が道にいっぱい落ちていて、雨上がりの草地の青い香りがする。月が出てて、まだ何ものでもない、夢や希望もなんだって描ける、軽やかな身体と魂……そんな頃もあったなって今急に思い出しました。今は何もかも重い…身体にも魂にも贅肉がついて。やり直しの効く年齢でもない。子供、家に土地、あまりにも重い、しがらみばかり。私はもはや自由ではない、どこにも行けない。でも絶望感と同時に、あの自由な感覚をどこまでも懐かしいと思う気持ちがあります。何もかもがただ懐かしい。
いつか死ぬ前にもこうして、いろんなことをただただ懐かしく感じるのでしょうか。つらかったこと、苦しかったことも……自分という人間が確かに生きていた証である、あらゆることを、授かった小さな黄金のねじ巻きを神様にお返しして、この意識が暗闇に吸い込まれていく前に。”

呟き

枕カバーのへりのところに、タグを留めていたプラスチックのピンがついたままになっている。気になりすぎて眠れない。

呟き